天の川の派手なところが水平線より下へ沈み、21時頃にはオリオン座が顔を出すようになりました。
1時ごろにはベテルギウス、プロキオン、シリウスの【冬の大三角】がそろい踏みして、11月初旬といえど星空はすっかり冬の装いです🌟
今回は【夏よりも空気が澄んでいて】、【冬よりも寒くない】今だからこそオススメしたい【秋の星空撮影のススメ】的レシピです。
扱いの難しい赤道儀や、星撮りだけでしか使わないような手を出しにくいフィルターは要りません。
…が、文章はかなり長いのでお暇なときにご覧いただければ。と思います。
星がきれいな場所へ行ければ、しっかりした防寒着と広角寄りのレンズ、三脚さえあれば誰でも再現可能なレシピなので「星空撮ってみたいけどどうしたらいいかわかんないよ~」って方は是非参考にしてくださいね!
それではいってみましょ~!
撮影準備
撮影場所
撮影場所は愛知県にある面ノ木園地というところですが、お住まいの県によって星空がきれいな場所はいろいろあると思いますので…お近くの行きやすい星空スポットを検索してみてくださいね。
他にフリーで入れるとこだと、この周辺は茶臼山高原や旭高原元気村なんかが有名です
月の状態を知る
空に月のない時間の撮影であったため、光の影響は0となります。
きれいな星空を撮影する際、【星がきれいに見られる場所へ行く】ことも大事ですが、もっと大事なのがこの【空に月がない】状態で、月明かりがあると星空が明るくなってしまい星が光に紛れて思うように写せません。
で、この新月期はどうやって知るのかというと【満月カレンダー】で検索するとかなりわかりやすいサイトが出てきます。
説明画像にあるような情報が載っているサイトであれば、どのようなサイトでも構いません。
https://www.arachne.jp/onlinecalendar/mangetsu/2022/10/
(画像引用元 満月カレンダー)
今回の撮影は10/30 22:30頃となります。カレンダーを見ると10/30は20:36に沈んでいてすでに月明かりがない時間である…ということが分かるかと思います。
月単位で見ていくと、10/5~10/20までは空に月明かりがある状態なのであんまりオススメではないということも言えます。(場所や撮影方向にもよりますけどね)
機材・小道具
必要最低限の装備は風が多少あっても倒れづらい三脚があればオッケー!ケーブルレリーズも、今はスマホアプリで代用可能な時代ですし、それがなくても2秒セルフタイマーで大丈夫です。あとは寒いので防寒着をもっていきましょう!
…で終わりでもいいのですが、こだわる方はここでちょっとレンズにこだわってみましょうか。
僕は星撮りにハマる自信があったので Samyang 24mm F1.4 というマニュアルフォーカスの明るい単焦点レンズを購入して使ってますが、後述する合成段階でつかう撮影枚数を増やせば問題ないので24-105mmとか、標準ズームがあれば撮影可能です!
こだわりたい方は35mmくらいまででF値が1.4や1.8、2.8などの明るい単焦点レンズを検討してみてください。
AFは不要なのでメーカーにこだわらなければ下は中古で2.5万円前後からあると思います。(余談ですがMFでもf/1.4とか使えると、ボディ内手振れ補正のある機種なら手持ちできれいな夜景が撮れます)
構図・アングルなど
構図と撮りたい星空の見つけ方
構図はみんな大好き三分割構図で。地上景1/3、星空2/3で。今回は右下で撮影してる方を目立たせたかったのでこうなりましたが、場合によっては地上景は1/4くらいでもいいかもしれません。
「自分がどの方向を見ていて、どこになんの星があるかわからない!」というときは、スマホアプリの【Vixen Nebula Book】をダウンロードしておくのをおすすめします。
https://www.vixen.co.jp/app/nebulabook/
(画像引用元 Vixen nebulabook)
今回は西方向へ向かって天の川が左下から右上になるように撮影ポジションをとりました。
どの星がどれか全くわからない内は、アプリの右下にある◎を押すとデバイス追従で画面が動いてくれるので、自分が写したい方向をスマホのカメラで撮るようなイメージで動かしていくと星空のイメージが掴みやすいと思います。
もちろん100%バッチリあってるわけじゃないので、撮影しながら画角や構図は都度調整していきましょうね!
また、星にピントを合わせる必要があるのでライブビューで確認、拡大しながら星が一番小さくなるようにMFでピントを合わせてください(多くの場合は∞の位置付近で合致します)
ホワイトバランス
後の星空合成はRAWデータ(canonだとCR2とかCR3、ニコンはNEF/NRW、他ARW、SR2、SRF等の拡張子のもの)で行うので、ホワイトバランスは特に気にしていません。
…が、jpgでも合成することは可能なので、白色蛍光灯とか青めのバランスにしておくと見栄えがよくなるかなと思います。
(みんながみんなRAW現像できるわけではないと思うので)
実際撮影したときの色味はおまかせのAuto white balanceでこんな色合いになってます。
星空撮影におけるシャッタースピードの500ルールやNPFルール
こちらの写真、シャッタースピードは合計91秒となってますが、13秒で撮影した7枚の画像を合成した値となってます。リアルにBulb撮影で91秒撮影すると星は流れて行ってしまいますのでご注意を。
何秒なら星が止まった状態で撮影できるか知るには【500ルール】というものを使って簡易的に知ることが出来ます。
計算式は
【500÷レンズの焦点距離(mm)=上限のシャッタースピード】
となり、今回の24mmのレンズだと、【500÷24mm=20秒】となりますが実際は20秒だと星が流れて点像ではなくなってしまいます。
ですので最近はより正確なNPFルールというものが用いられていますが計算がめっっっっっちゃ面倒なので
【35mmは8秒】【24mmは13秒】【20mmは15秒】【17mmは18秒】で覚えてください。
忘れたらこの記事を見に来てください。僕が喜びます。
絞りは解放1.4の強みを生かして2.8まで絞ってあります。だいたいのレンズは解放(2.8とか3.5とか4)で撮影すればOKです。
撮影枚数は多ければ多いほど良いですが、今回は簡単に7枚くらいで。
光害のない地帯なのでf/2.8 13sec x7枚 ISO 4000という設定で撮影してますが、f/4.0とかだとISO 6400で 13sec x16枚みたいな感じで撮ってみるといいかもしれません。(現場の明るさによるので、あくまで目安)
撮影まとめ
撮影自体はこれでおしまいです。
箇条書きするとえらいあっさりしてますね 笑
ともあれ、とりあえず撮影お疲れさまでした。ここから先はおうちのPCでの作業になります。
Sequaterを使ったスタック合成にチャレンジする
ソフトをダウンロードする
星空を撮るだけであれば、ここから先のことは無視していただいてもよいのですが、どうせ撮ったならノイズを少なくしてきれいに見せたいですよね…?
そんな方におすすめしたいのが Sequater という星空合成ソフトです。利用料、なんと無料!フリーウェアです!
https://sites.google.com/view/sequator/ より引用
ダウンロード出来たら任意の場所へ解凍しておいてください。インストールは特に不要です。
Sequaterの設定
準備が出来たらSequator.exeをクリックすれば説明写真のような画面になりますので、赤くなってる星空画像をダブルクリックしましょう。写真の選択画面になります。
(今回C-RAWなのがダメなのかDPRAWがダメなのか、いづれにせよ読み込みができなかったのでTIFFに変換して選択してますが、だいたいの方はそのままでOKだと思います)
その後出力をダブルクリック→ファイルの名前と出力する場所を選択してください。基準画像は自動で選択されますし、ノイズやケラレ画像もなしでも動きます。
で、このまま合成してしまうと地上景がぶれてしまうので、【星を合わせる】欄から【地上景色固定】を選択。
その下の【星空の領域】から不規則を選択してマウスで星空がどうなっているか塗っていきます。(二つ目の説明写真参照)
もうここまできたらほぼ終わりで、後は↓の画像と同じようになるようにマウスをぽちぽちしていくだけです。
一点、光害を減らすのスライダーはあまり強くしすぎると空がえぐくなってしまいますので注意して変更してください。
とは言っても失敗してもパラメータを戻して再出力するのは簡単なので、自分の好みになるよういろいろ触ってみるのが良いと思います。操作を誤っても、元データは壊れないので。
さいごに
いかがでしたでしょうか?星空撮影から画像のスタック合成まで、ここまでしっかり説明する記事って意外と少ないような気がしたので、自分でつくってしまいました 笑
細かいとことか、本気で星空撮ってる方からすると突っ込みどころもたくさんあると思いますがその辺りはご勘弁を。このレシピはあくまで深い深い沼の入口ということで…(意味深)
以上、暑くも寒くもない空気の澄んだ秋だからこそオススメの星空撮影のためのレシピでした!
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